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最後に発見された日本兵「スニヨン」台湾統治下に生きた中村輝夫文藝春秋　４６判　ハードカバー、２２２頁　１９８４年　初版 \r品切れ絶版。入手困難書。\r\r スニヨン、日本名中村輝夫、台湾高砂族、中国名李光輝。インドネシアのモロタイ島で戦後三十年を経て発見された元日本兵。スニヨンは、投降は死刑だと信じジャングルに隠れていた。\r　日清戦争後、台湾は下関条約で日本に割譲され、日本統治時代を迎えた。日本統治時代、アミ族、パイワン族、タイヤル族などの台湾原住民は「高砂族」と呼ばれ、第2次大戦中には、高砂族志願兵から成る「高砂義勇隊」が編成される。\r　スニヨンは、1918年（大正9年）生まれ。15歳のときに高砂義勇隊に志願し、このとき「中村輝夫」という名が付けられる。戦争終結を知らずに、インドネシア・モロタイ島の密林の奥に潜み続ける。正式に発見されたのは、終戦29年を経た1974年12月、そして1975年1月に台湾へ帰郷。\r　\r　横井さん、小野田さんに続く、ジャングルで終戦後の30年を生き抜いた日本兵。その生存と発見時の様子はテレビでも紹介された。しかし、その後、スニヨンが台湾出身であると判ると、ほとんど報道されなくなった。\r発見されて35年が過ぎて、スニヨンの一生を探って書き留めたのが佐藤愛子だった。\r 本書では、佐藤愛子が、スニヨンの家族・親戚、現地の方、当時の高砂兵などへのインタビュー、メディア情報などを通じて、スニヨンの一生を追っていく（当時、スニヨンはすでに他界）。証言の食い違い、現地メディアと証言の食い違いも多くあるものの、「加工の無いありのままの記録」となる。まさにヒューマンドキュメンタリーである。\r　\r　やややつれはありますが、カバー、本文ともきれいです。書き込みはありません。文春文庫にて３０,４１４円。